本当のアイドルたちに出会えた話
いつの時代だって、アイドルはいた。
私の中学~高校時代は、ちょうどAKB48ブームであったり、嵐のブームが来ていたりと私の周りには常にアイドルの存在があったし、アイドル好きな友人もいた。
けれど、私は今までそういったアイドルにあまり興味がわいてこなかった。もはや小学校のころから二次元に傾倒し、アイドルよりも、アニメやら漫画やらのほうが好きだったのだ。もちろん、今も正直そうである。
まあ、中学時代なんかはAKBの勢いがすさまじく周りにファンがいたことから(兄もゆきりん推しだったりした)、私も若干のAKB好きであった。昔からちょっとエロいお姉さんキャラが好きだったので(エロくないが)篠田麻里子が好きだった。
けれど、本物のガチファンのようにCDを買うわけでもなく、テレビにかじりついて麻里子さまを見るわけでもなく、ライトな「まあAKBの中なら篠田麻里子が好き」レベルのファンだった。
また、二次元でもちょうどアイドルものが流行りだしたのもこのころだったのではないかと思う。
それも女性アイドルではなく、男性アイドルである。
やはり火付け役は「うたの☆プリンスさまっ」だろうか。私の周りにもやはりプレイヤーがいた。(というかこれ以外に男性アイドルもののゲームがあまり思いつきません)
そこからは、現在ゲームの主流であるソーシャルゲームで様々な男性アイドルものがリリースされている。
あんさんぶるスターズ!、アイチュウ、アイドリッシュセブン…それ以外にも、アイドルではないけれど芸能界を舞台にしたような女性向けのゲームは多い。
そして、タイトルのとおり、私はこのゲームの世界で本物のアイドルに出会った。
そう、「アイドルマスターsideM」だ。
元々、私のアイマスの始まりは「アイドルマスターシンデレラガールズ」だった。
高校時代にデレマスに出会い、プロデューサーの武骨さに惹かれ、島村卯月の笑顔に癒され、泣いて、彼女の生きざまに勇気をもらった。
しかし、そこまでで、私のアイドルへの思いは止まった。
就職により、アニメを見る暇も少なくなり、ソシャゲもままならない。毎日、職場と家の往復。おまけに職場にはすこぶる嫌いな若ハゲ野郎がいて、精神衛生上もよくない。たまに島村卯月のS(mile)ING!動画を見ては泣き、心を浄化し精神を保つ日々が続いていた。
2年目からは部署が変わり、多少は心に余裕ができたものの、前の部署よりも忙しさは増し、やはり定時で帰ることなどはできない、時期によっては毎日、日付が変わってから帰るような日々だった。そして、それは3年目になった今年も変わらない。
そんな時だったと思う、彼らに出会ったのは。
もともと、アイドルマスターsideMの存在は知っていて、モバゲー版も少しだけプレイしていたのだが、ポチポチゲーが苦手だったのと忙しさからプレイしていなかったのだが、アニメ化されたということで、プロローグ、そして第1話を見た。(見始めようと思った時点ですでに3話くらいまで放映されていた)
そこにいたのは二次元上の、偶像ではなく、まごうことなき“アイドル”だった。
少なくとも、私にとっては。
今までの2次元上のアイドルたちは、もともとアイドルを目指しているというキャラクターがほとんどだったと思う。あんスタ、アイチュウなどしかり、アイマスもそうだろう。
しかし、彼らはジュピターを除いては、もともとアイドルとは程遠い場所にいた人間たちばかりだ。
最初にsideMの存在を知った時は何かと思った。なんだ元弁護士とか医者って。何でアイドル、と。
けれど、それには彼らの正義と思いがあって、そこに立っている。その道を選んでいる。
その姿を見て、ああ、なんてことだろうと思った。
それまでの自分を変えてでも、自分の信念のために生きる。戦う彼らの姿には、それだけで十分なほどの力があった。
それまでの自分があるからこそ、彼らは輝く。彼らは決して最初からアイドルになりたかったわけではない。自分の夢のため、正義のため、それぞれ別の道を歩んでいた。しかし、そこから、勇気をもって一歩踏み出した先に、新たな自分が、新たな思いが、新たな夢があることに気付いたのだ。
ひとに夢を与えること。それが、アイドルの仕事だと私は思っている。
だからこそ、アイドルには、アイドルでいる間はその夢を壊さず、我々に、かりそめでもいいから夢を見せ続けてほしいと思う。
彼らを見たとき、私は夢をもらった。ああ、輝いている。比喩表現ではなく、本当に、私には彼らがまぶしく輝いて見えた。それはさながら、四季が軽音部のバンドを初めて見たときのようだったんじゃないかと思う。
アイドルは悪い言い方をすればヤクザな仕事である。自分の人気がそのまま自分の生きる糧となり、人気がなければ落ちていく。なんて自分を疲弊させ、魂を削る仕事だろうと思う。
そんなアイドルに、堅実で真面目な仕事についていた彼らが転職するなんて、どれほどの覚悟と勇気が必要だったことか。
それこそ、それだけの「理由」がなければなることなんてできなかっただろう。
私にとっては、彼らが歌って踊る姿ももちろんだけれど、彼らのアイドルとしての姿よりも、彼らが「アイドルになること」自体に意味があるのだ。
彼らがアイドルであること、その事実が私にいつだって勇気をくれ、生きる糧となるのだ。
sideMのアイドルたちはみなそれぞれのワケがあってアイドルをしている。
それは、どんな理由であれ、覚悟が必要なものだと思う。
変わること、これがどんなに大変で、難しいことか私たちはよく知っていると思う。
いままでの自分から変わることは大変な労力だし、よほどの思いがなければ成すことも難しい。
私も、今まで何度も内気で人見知りな自分を変えようと思っても、結局何もできず、とりあえず人並みに付き合いができればいいかと現状このままにしたりして、甘えて生きている。
そんな自分を嫌だと思ったことは何度だってあるけれど、変わることよりもその思いを抱えて生きているほうが楽だから、それを選んできた。
そんな自分を恥じるわけじゃない。けれど、彼らの姿を見て、変わってみることの意義を改めて思い知らされたように思う。
私にとってのアイドルは、ただそのかわいい、かっこいい姿を見せてくれるだけではなく、その生き方で、姿で、思いで、私に生きる糧と勇気をくれる、かけがえのない尊いものだ。
今までこんな気持ちになったことはなかった。彼らに出会って初めて、自分の中の情熱と新たな思いを見つけることが出来たように思う。
残念ながら、彼らに出会ったからといって私に何か劇的な変化があったわけではない。相変わらず、仕事は忙しいし、嫌なやつはいるし、人見知りが治るわけでもない。おまけに本物の彼らは画面の向こうから出てきて握手会をしてくれることは一生ない。けれど、彼らとの出会いには確実に意味があった。それだけは、胸を張って、心から言える。
彼らの存在を知り、思いを知って、その熱量に充てられて、私はやはり生きることを頑張れているのだ。それだけで、私はもう十分だ。
長いこと書いてしまったけれど、言いたいことはたった一つである。
sideMのアイドルたちは、315!!
ひとまずは、彼らのリリースしているメディアに際限なく金をかけることが、私にできるただ一つのことであると思う。